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【5分でわかる】アニメの作り方~プリプロ編~【ざっくり解説】

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ここ数年1クール(3ヶ月)で50本以上TVアニメーションが制作されている。ただでさえ20本見るのもやっとの中、実は制作中の作品もあわせるとその時期に100本以上のタイトルが動いている。

そんな毎日作られている(本当に毎日、不夜城なスタジオがたくさんある。)アニメは様々な会社で制作され数え切れないほどの人数のスタッフが関わっているのだ。

Track UP最初の記事は2Dアニメーションの作り方をだれでもわかるようにざっくりと説明。明日にでも知り合いにちょっと自慢できちゃうくらいのアニメのリアルをお届けする。

 

アニメーション制作は大きく分けてプリプロプリプロダクション)」「プロダクション」「ポスプロ」という3つの段階を経てアニメーションの1話というものは作られていく。工程の流れ的には「設計」→「素材作る」→「一つにまとめる」という風に考えてほしい。

 

 

作品の根幹を決めるプリプロ

プリプロとは「企画」「シリーズ構成・脚本」「絵コンテ」という三つの工程のことをいう。簡単に言えば「何作る?」から始まり「どんなお話にする?」というのを話あって「設計図」を作るまでの工程だ。設計図を作るという実作業に入るまでにとにかく会議を重ねて面白い作品を作るために色々考えていく段階。

本当にここが大事な部分であり、作品のベースとなる面白さやビジネスの面で収益やコストコトロールを考える。ぶっちゃけ面白くなくてもコストを抑えて黒字できれば実はOKだったりする。。。

 

企画=0から1を考える大事なファクター

企画」は出資者たちがあつまり、どういう作品を作るか、作る上での収支に関してや利益の分配率などを話し合う。アイディアをもってどういう風な方針にしたいかを決める大事な一歩である。

この段階で、監督やキャラクターデザイン、シナリオライターなどのメインスタッフを決定していく。

ほんとに大事なのだが、特別解説することがない。

単純に「0から1」を生み出して、具体的にできる内容に落とし込む。ただこれが非常に難しいのはなんとなくわかってもらいたい。

 

 

脚本は「。」一つに意味がある

実際にメインスタッフが決定し作品を作って行くとなった際、「シリーズ構成・脚本」を作成していく。まずシリーズ構成と呼ばれる作品全体の流れを決める文章を作る。漫画原作の場合は1話の内容は原作1巻の第3話まで2話は第4話から第7話まで、という風に全話数分の内容の配分を決めていく。

そして、シリーズ構成で全体の流れが決定すると1話数ずつシナリオライターが1話数の最初から最後までの流れを文章で起こしていく。脚本の第1稿ができると監督、シナリオライター、プロデューサー等で「本読み」と呼ばれる会議が行われる。その中で、この台詞はこうした方がいい、この文字は使いたくない、など脚本に関しての意見交換が行われる。期間を開けて第2稿が作成され、また「本読み」が開催され、とOKになるまで繰り返すのだ。

脚本に関しては内容にもう少し触れていこう。

山月記】を例えにして脚本に置きかえる。

元の文章

残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎もうこが叢くさむらの中から躍り出た。虎は、あわや袁に躍りかかるかと見えたが、忽たちまち身を飜ひるがえして、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟つぶやくのが聞えた。

ざっくり脚本にすると

林(夜)。

歩く李徴の前に草むらから現れる虎。

襲いかかると見えたが、ひるがえって元の草むらに隠れる。

それをじっと見る李徴。

虎「・・・あぶないところだった。あぶないところだった。あぶないところだった」

という風になる。

小説との違いはシチュエーションを最初に書いてキャラクターのセリフと行動を文章に起こしていく。基本的には感情に関しての文章も入れない。あくまで誰が何をして、何を言ったかが大事なのだ。「・」ひとつ「。」ひとつにも間が発生していて、声優が喋るタイミングや尺を決める際にも重要な意味を持つ。

 

 

アニメの設計図それが絵コンテ

 脚本が出来上がると次に「絵コンテ」と呼ばれる物を作っていく。絵コンテまでは基本的に実作業は1人の担当者が作成していくのだが、「プロダクション」の段階では100人規模の作業者が携わることになる。脚本だけ渡して自由に作成していては終わらない。

各作業者に対して、この話数はこういう絵で始まって、このカットには処理をのせて、こういう服装で、キャラクターがこう動くという指示書が必要になるのだ。

それが『絵コンテ』なのだ。

 絵コンテは高い技術が求められる。単純に絵がうまいだけではなく構成力やコスト管理、処理能力、フォーマットに合わせた尺管理などを計算する。

簡単に設計図に置き換えるとわかりやすい。

例えば軽自動車を作ろうとして、スピードや乗り心地、燃費、ビジュアル、価格にあった素材などを計算する。ここで無理にスピードが欲しいからとエンジンの出力をあげてしまったり、カッコよくするために鋼鉄の素材を使った設計図を作ってしまった。

素材めっちゃ価格高いし、低所得向けの自動車なのに誰が買うねん!てかエンジンの出力たかくてそもそも軽自動車の認定降りんねんけど!!!工場もそういうの作るためのノウハウもってねーから!!!!

アニメの絵コンテというのはそれほど重要な設計図なのだ。ここで破綻してしまうと後ろのセクションが一気に崩れてしまう。そうならないためにコンテマンと呼ばれる人たちはアニメ業界でも能力が高いスペシャルな人たちが担当することが多い。

 



上の動画は専門学生の自主制作アニメの絵コンテを紹介している。左端から、cutナンバー、絵、内容指示、尺となっている。このアニメーションの場合声が入らずに、画面にセリフを一緒に見せる構成のようだ。通常は内容指示の欄にセリフ欄があり、そこにキャラクターが喋るセリフやSEなどが記載される。

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プリプロは「企画」「脚本」「絵コンテ」という流れで作られていくのはわかって頂けただろう。作品を作る上で最初に作品の基盤を作る大切な段階であり、うまく調整出来ずに企画の段階で終わってしまう作品もたくさんある。その中でも勝ち抜き私たちに届けられているのはとてもすごいことなのだ!

エンドクレジットに必ず絵コンテを担当した人や、シナリオライターの名前が乗っている。気に入った話数などのクレジットでは担当したクリエイターをぜひチェックしておこう!

 

 こちらの記事はtoyがアメブロに投稿したものをはてなブログに移したものです。